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足もとの砂

       足元の砂


        ピンクが好きと言った私
        白が一番さといったあなた
        ピンクよ、白さ
        そんなことで私たちはけんかをしたわ
        あの頃はとても楽しかった二人
        手を取り合って
        笑いながら公園を走ったっけ
        明るい太陽の下で
        お互いの目をじっとみつめあった二人
        あなたの手が私の肩にふれ
        私の髪があなたのほほにふれた
        海のさざ波の音を聞きながら  とても幸せでした

今、その場所には私たった一人
目をとじても やさしく肩にふれる手はなく
耳をすましても、波の音が ただ無情におしよせるだけ
あの時の明るい太陽もなく、冷たい風が残っている
私の目からは一しずくの涙が流れました
そのあまりにもつめたい涙で 私はフッと目を開けました
あたりにあなたの気配を感じたからです
けれど、そこには 私がたった一人でした

                悲しくなって足元の砂を見つめながら
                あてもなくさまよい歩き始めた私
                その後ろには足跡が残っていたことでしょう
                波のうちよせ際までやってきて、そっとうずくまり
                ぬれた砂の上にあの人の名前を書いてみた
                すると涙が出てきて フッと消していってしまった
                私のほほにはとめどなく涙があふれました
                けれど、もう一度あの人の名前を書いてみました
                幾度も幾度も書いてみました
                まるで、そうするとあの人が戻ってきてでもくれるかのように
      
              1969・12・21
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